2026/09/14
豊島区でマンションをお持ちの方から、「今売れば相当な利益が出そうだが、もう少し待てばさらに上がるのではないか」というご相談が増えています。結論から申し上げると、価格の天井を当てにいくよりも、自分の物件の状態と暮らしの事情から逆算して売却時期を決めるほうが、判断の精度は上がりやすいというのが実務上の実感です。
理由は単純で、相場の頂点は後から振り返って初めてわかるものだからです。2026年に入ると、東京都区部では成約件数の減少が見られる一方、成約㎡単価はなお前年を上回っています。首都圏全体では㎡単価が前年を割り込む月も出ており、価格上昇が今後も同じペースで続くとは限らない状況です。加えて、住宅ローン金利の上昇は買い手の借入余力を確実に押し下げます。「まだ上がる」と待つ間に、買える人の数そのものが変化していく可能性は無視できません。
昭和59年の創業以来、池袋本町を拠点に豊島区の不動産売買に携わってきた和幸株式会社が、この記事では次の3点を整理します。
目次
1. 豊島区のマンション価格が上昇している「今」が売り時と言える理由
池袋駅周辺を中心とした再開発によりエリア全体の資産価値が高水準にある
今後予想される住宅ローン金利の上昇が買い手の購入意欲を冷やすリスクがある
2. 売却を「今進めるべきか」「待つべきか」を見極める判断基準
住み替えや資産整理といったライフプラン上の優先度から判断する
豊島区を含む東京都区部の中古マンションは、売り手にとって高い価格水準にあります。東日本不動産流通機構(レインズ)の集計では、2026年7月の東京都区部の成約㎡単価は135.77万円、前年同月比プラス2.7%と75か月連続の上昇となりました。6年以上にわたって前年を上回り続けている計算になります。
一方で、取引の量には変化が表れています。同月の東京都区部の成約件数は1,509件、前年同月比17.2%減。首都圏全体で見ると成約㎡単価が前年を下回る月も出てきました。価格の水準は高いまま、成約件数は絞られつつあるというのが直近の姿です。在庫も増加傾向にあり、買い手が物件を選びやすい環境へ戻りつつあります。
高値圏にあるうちは有利な条件で交渉できる一方、需給が緩めば「売り出したのに問い合わせが来ない」という事態も起こり得ます。以下で、豊島区の価格を支えている要因と、それを揺るがし得る要因の双方を見ていきます。
豊島区で注目されているのが、池袋駅周辺で進む一連の再開発です。池袋駅西口地区(約4.5ヘクタール)と池袋駅直上西地区(約1.6ヘクタール)では第一種市街地再開発事業の都市計画が2024年11月に決定告示され、駅前広場の再編や歩行者空間の整備を伴う大規模な機能更新が動き出しました。
こうした再開発は、交通利便性や街の魅力の向上への期待につながり、中長期的には不動産価格を支える要因の一つになり得ます。ただし、豊島区のマンション価格は再開発だけで決まるものではなく、都心部の需給や建築費、金融環境など複数の要因に左右されます。区内で長く売買に携わってきた実感としても、購入検討者が街の将来像を評価材料に挙げる場面は明らかに増えていますが、値動きの理由を一つに絞ることはできません。
注意したいのは、完成までの時間軸です。西口地区は今後、組合設立認可、権利変換計画認可、施設建築物工事という段階を踏むため、街の完成形が姿を現すまでには長い期間を要します。完成まで待つことが必ずしも有利とは限らないという前提に立ち、再開発の進捗だけで売却時期を決めず、現在の相場や所有物件の条件、保有期間中に発生する管理費・修繕積立金・税金といったコストとあわせて判断することが欠かせません。
売却時期を考えるうえで、価格動向と並んで重要なのが金利です。日本銀行は2024年のマイナス金利解除以降、段階的な利上げを進めており、2026年6月には政策金利が1.0%となりました。2026年9月時点では、主要銀行の新規借入向け変動金利に1%台の商品がみられ、固定金利は固定期間や商品によって3%台から5%台まで幅があります。
金利の変化が売り手に及ぼす影響は、買い手が用意できる資金の縮小として表れます。毎月10万円の返済という前提で、借入元本を試算しました。
| 金利 | 3,000万円借入時の月返済額 | 月10万円返済から逆算した借入元本 |
|---|---|---|
| 年1.0% | 約84,700円 | 約3,540万円 |
| 年1.5% | 約91,900円 | 約3,270万円 |
| 年2.0% | 約99,400円 | 約3,020万円 |
| 年2.5% | 約107,200円 | 約2,800万円 |
※表は左右にスクロールして確認することができます。
※返済期間35年・元利均等・ボーナス返済なし・各金利が返済期間中変わらないと仮定した概算です。「月10万円返済から逆算した借入元本」は返済額から計算した目安であり、実際の住宅ローン借入可能額を示すものではありません。借入可能額は年収、返済負担率、年齢、他の借入、各金融機関の審査基準によって決まります。
金利を1.0%から2.0%として単純計算すると、同じ月10万円の返済で賄える借入元本は約520万円少なくなります。金利上昇は住宅ローン利用者の借入余力を下押しするため、物件価格にも下押し圧力がかかる可能性があるという関係は、売却時期の判断で見落とされがちな点です。
✓ポイント:豊島区を含む都区部の相場は高い水準を保っているものの、成約件数の減少と金利上昇という変化も同時に進んでいます。「価格が高いから待つ」と決める前に、買い手側の資金余力がどう変わりつつあるかまで判断材料に加えることで、時期の選択に厚みが出ます。
出典:月例速報 Market Watch(2026年7月度)|公益財団法人東日本不動産流通機構
市場全体の動きは、誰にとっても共通の条件にすぎません。売却時期を最終的に決めるのは、所有している物件の個別事情と、ご自身の生活設計です。同じ豊島区のマンションでも、築15年と築40年、住み続ける予定の有無で最適解は変わります。
判断を整理しやすいよう、典型的なケースを比較しました。
| 今進めるべきケース | もう少し待てるケース |
|---|---|
| 空室のまま維持費だけがかかっている | 自宅として住み続ける必要がある |
| 転居から3年目の年末が近づいている | 売却後の住まいが決まっていない |
| 相続や資産整理の話し合いが進んでいる | 相続人間の合意形成がこれからの段階 |
| 買い替え先の資金計画を早く固めたい | 転勤など数年内に事情が変わる予定がある |
※表は左右にスクロールして確認することができます。
以下、判断軸ごとに具体的な見方を解説します。
マンションの価格は、築年数に応じてなだらかに下がるわけではなく、いくつかの節目で段差を作りながら動きます。中古市場では築20年前後、築30年前後が検索条件の区切りとして使われやすく、その境界を越えると検討対象から外れてしまうケースがあるためです。
旧耐震基準(1981年6月1日の新耐震基準施行前に建築確認を受けた建物)のマンションでは、耐震性能や金融機関の審査条件によって買い手の住宅ローンの選択肢が限られる場合があります。住宅ローン控除についても、中古住宅は昭和57年1月1日以後に建築されたものが対象となる一方、それ以前の建物でも耐震基準への適合を証明できれば対象になり得るため、築年だけで結論は出せません。
大規模修繕についても同様です。国土交通省の長期修繕計画作成ガイドラインでは、外壁補修や屋上防水などにおおむね12〜15年程度の修繕周期が想定されています。ただし、修繕の前後だけで売却時期を決めるのは早計といえます。工事前でも十分な積立金があるマンションもあれば、工事後に値上げや一時金徴収の予定が残る場合もあるためです。確認しておきたいのは次の5点です。
大規模修繕後は管理状態を説明しやすくなる場合がありますが、一律に「売り時」とはいえません。判断材料は工事の時期そのものではなく、管理と資金計画の実態にあります。
「再開発の完成を待ってから売る」という考え方は、一見すると合理的に映ります。ただし実務では、完成まで保有し続けることが有利に働くとは限りません。
理由は3つあります。第一に、再開発への期待は計画決定や着工の段階から段階的に価格へ織り込まれていくこと。第二に、工事期間中は解体音や工事車両の通行、周辺道路の規制といった居住環境の変化が生じ、その時期の内見では不利に働きやすいこと。第三に、完成時期には工事費の高騰や合意形成の遅れによる後ろ倒しがつきものであり、待つ期間が想定より延びる可能性があることです。
物件が再開発区域に隣接しているのか、数駅離れた住宅街にあるのかによっても影響度は変わります。再開発の進捗は判断材料の一つとして扱い、保有コストや自身の予定と並べて比較する姿勢が現実的です。
相場より優先されるべきなのが、ご自身の生活と資産計画です。特に税制上の期限は、相場変動と違って日付が決まっているぶん、見落とすと取り返しがつきません。
代表的なのが、マイホームを売却した際に譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例です。以前住んでいた家屋については、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却する場合に限って適用されます。期限を過ぎて特例が使えなくなると、譲渡所得の額によっては税負担が大きく増える可能性があります。値上がりを待つ場合も、想定売却価格ではなく税引後の手取り額で比較することが判断を誤らないコツです。
相続した物件についても、時間の経過は判断材料になります。共有状態を長期間続ける間に共有者が亡くなるなどして新たな相続が発生すると、権利関係がさらに複雑になり、売却時の合意形成が難しくなる場合があります。売却の可否を決めきれない段階でも、関係者間で方針を共有しておく価値は十分にあります。
✓ポイント:判断軸は「相場」「建物と管理の状態」「自分の事情」の3層で考えると整理しやすくなります。相場は自分では動かせませんが、修繕計画の把握や税制の期限は事前に確認して先回りできる要素です。動かせる要素から順に手をつけることが、後悔の少ない判断につながります。
売却時期を決めたら、次は進め方です。高値圏の市場では「相場が高いのだから、どこに頼んでも同じように売れる」と考えられがちですが、査定根拠や販売戦略、購入希望者への情報提供の方法は会社によって異なります。査定額の数字だけでなく、販売方法まで含めて比較することが、結果として条件のよい成約につながります。
査定価格は、会社によって前提の置き方が異なります。直近の成約事例を重視する会社と、現在の売り出し事例を重視する会社では結果が変わり、同じマンションでも査定額に差が出ることは珍しくありません。
そのため、査定は複数社へ依頼したうえで、金額そのものよりその価格を導いた根拠を比較することをおすすめします。確認したいのは、同じマンション内や近隣物件の直近成約事例が示されているか、想定される販売期間の説明があるか、価格が下がる要因についても言及があるか、という3点です。
注意したいのが、相場から離れた高額査定です。売り出し後に問い合わせが入らず、値下げを繰り返した末に当初の想定を下回る価格で成約する、という流れに陥りやすくなります。市場に長く滞留した物件は「何か問題があるのでは」と見られ、交渉の余地も狭まります。最初の価格設定が売却全体の流れを左右する、という認識を持っておきたいところです。
豊島区は、池袋駅周辺の商業地から、池袋本町・巣鴨・要町といった落ち着いた住宅街まで、性格の異なるエリアが隣り合っています。同じ「豊島区のマンション」でも、駅からの経路の印象、坂の有無、学区、周辺の工事の進み具合によって、響く買い手層は変わります。
データだけでは把握しにくい生活動線や周辺環境など、地域での取引経験が参考になる情報もあります。当社が池袋本町で40年以上にわたり売買と賃貸の両方を手がけてきた経験からいえば、成約を左右するのは価格設定と、購入検討者の不安を先回りして解消する情報提供の丁寧さです。
売却の選択肢を複数持っている会社かどうかも重要な視点です。仲介による売却のほか、買取、任意売却、賃貸に切り替えて保有を続ける方法など、状況に応じた出口を比較検討できれば、「今は売り時ではない」と判断した場合の代替案まで含めて相談できます。
✓ポイント:査定額の高さだけで会社を選ぶと、売却期間が延び、値下げを重ねることになりがちです。根拠を説明できるか、地域の買い手像を語れるか、仲介以外の選択肢も提示できるかを基準に選ぶことで、判断の幅が広がります。
豊島区を含む東京都区部のマンション相場は、成約㎡単価が前年を上回る状態を長く続けています。同時に、成約件数の減少や金利上昇は、これまでの上昇局面が変化しつつあることを示しています。「もっと上がるかもしれない」という期待と、「買い手の借入余力が縮んでいく」という見通しを、並べて検討する局面に入ったといえます。
そのうえで最終的な決め手になるのは、修繕計画と積立金の状況、築年数の節目、税制上の期限、家族の合意形成といった、ご自身の側にある条件です。これらは相場と違って事前に把握でき、先回りして準備できます。まずは所有物件の管理状況と、売却によって実現したい目的を書き出すところから始めてみてください。
和幸株式会社は、昭和59年の創業から豊島区池袋本町で地域の不動産に向き合ってきました。仲介売却はもちろん、当社による買取、任意売却、相続した物件の売却や賃貸化まで、状況に合わせた選択肢をご用意しています。今すぐ売る予定がない段階でのご相談や、無料査定によるご自宅の現在価値の確認だけでも問題ありません。判断材料を揃えるところから、お気軽にお声がけください。